川本三郎
+--June 05, 2008--+
「東京の空の下、今日も町歩き」川本三郎

「東京の空の下、今日も町歩き」読了。
ヘビーユーザーさんに天沼陸橋を描いた絵として、この本の表紙を教えていただいて、これは読んでみたいと思って読みました。そんな経緯なのでどんな本かわかっていなかったのですが、雑誌「東京人」の「東京泊まり歩き」という連載をまとめたものとのこと。
もうね、こういう本は身体がうずうずしちゃいます。本を読むより、外に出て同じ道をたどってみたいって。それにこの、浜田山に住んでいる川本さんが、あえて東京に宿を取って、一泊二日の町歩きをするという企画が素晴らしい。私、この本を読みながらたぶん10回ほど「あ〜、真似したい!!」って独り言言ってました(笑)。
町歩きの場所は砂町、業平橋、羽田などの23区内もあれば、青梅、羽村、あきる野など奥多摩の方もある。私は実家が多摩センターなので、もっと都下のあちこちを知っていてもおかしくないのですが、実家に住んでいた頃は「出掛けるなら都心方面でしょう」という頭しかなかったので、ほとんど知らないんですよね。なんてもったいない。これからはもっと西の方にも足を伸ばそう。
行き先が全て生活が感じられる場所なのがいいです。いや、行き先がそういう場所というより、川本さんがその場所のそういう側面を捉えるのでしょう。この本の中では行ってないけど、例えば銀座のような華やかなりし場所を歩いたとしても、長くご商売をされているお店やそこで働く方に目を向けるだろうから。そういう目を持てるようになりたいものです。
あ、あと、この本を読んでいて、自分が随分物事を誇張して書いたことがわかりました(笑)。この本によると砂町銀座は全長1kmだそうで、となると先日の全力疾走はその約半分だったから500m。「せいぜい5分程度の全力疾走」と書いたけど、どう考えても5分も走ってないです。いや、実感としては10分くらい走ったようなつもりで、謙虚に5分と書いたんですが、根本の実感が尊大だったようです(笑)。
よ〜し、仕事を効率よくこなして、時間作って、町をうろつくぞ!!
+--May 08, 2008--+
「名作写真と歩く、昭和の東京」川本三郎

「名作写真と歩く、昭和の東京」読了。
この本は2003年から2005年に雑誌「読売ウィークリー」で連載された「東京時空散歩」の写真の中から東京のよき記録になっている作品をまとめたものだそうです。掲載されている写真は、一番古いものは1932年に撮られたもの。一番新しいものが1988年。写真家も木村伊兵衛、土門拳からロバート・キャパまでいろいろ。
どの写真もそのときその場所の空気が垣間見れて本当に面白いです。皆が浮かれていく様子、町が寂れていく様子、キナ臭くなっていく様子等々。写真家がこれぞというアングルで撮ったものなので、同じ瓦礫でも1945年の銀座と1969年の東大とでは全然雰囲気が違うし。浮き沈みがあってこその東京なのかもしれません。
最後に個人的に気に入った写真を数点。
P.47 1938年の東京駅…昔の赤レンガ3階建ての東京駅。このやや見下ろす角度からの写真はなかなか見ないように思う。いいなあ。
P.53 1954年の丸の内…丸の内が一丁ロンドンだった頃。
P.60 1964年の皇居…和田倉橋の上で等間隔にカップルが抱き合ってます。ロマンチックな場所が他に少なかったということなんでしょうが、かなりびっくり。
P.84 1969年の東京大学…川本さんの言う「かぎりなく「自己肯定」してゆく」現代人に疑問を持つことも必要な気がします。
P.128 1948年の渋谷…この写真は、今の渋谷を歩いている人に配りたい(笑)。この次のページの池袋は説明がなくても池袋と気付くけど、渋谷はあまりに変わっています。
これ以外にも全ての写真が町を、時代を写しています。「名作写真と歩く」の名にふさわしい写真ばかり。
+--February 17, 2008--+
「銀幕の東京」川本三郎

「銀幕の東京―映画でよみがえる昭和」読了。
最近、この手の本をいろいろ読むようになったので、自分の頭の中に『往時の東京』が勝手にできあがっちゃって、実際に見たことがないのに見たことある気になっちゃってます(笑)。
読んでいると「あぁ、あれね。懐かしい。」と思っちゃうけど、よくよく考えたら、自分で勝手に作り上げた想像の映像だったりとか。戦後復興期の銀座や浅草なんて、見たことあるわけがないのに(笑)。
そんな風に映像を勝手に作り上げても、当時のムードはその場にいなかったものにはわからないもので、私は今まで千住のおばけ煙突に対する概念がどうもピンと来なかったのですが、この本を読んでその辺が少しわかりました。私のような若い(笑)人間にとっては、「煙突」って「公害」などを連想するもので、どちらかというとよくないイメージがあるんですよ。だから、おばけ煙突に対する郷愁とかってどうもよくわからなかったんです。
でも、この本によると、当時のおばけ煙突は復興の象徴だったんですね。黒い煙がもうもうと立つ様子も、たくましげに感じるという。どんなものも、背景が変われば受け取られ方も変わるものですが、何だかやっと腑に落ちた気がします。
あと、銀座に夜店が出ていたという話も面白かったですね。香港みたいな夜店が出ていたのかなあ。。。って、私も香港の夜店なんて映画の中でしか見たことがないけど、今の銀座に夜店なんて想像できない!
そんな風に、映画には今では失われた当時の東京が映されているわけですが、失われる風景を映すために映画を作るというパターンもあるんですよね。映画「如何なる星の下に」は、埋立てられる前の築地川を撮るために、原作では浅草である舞台を映画では築地川付近に変更したのだそうです。
東京マラソンなんかも、この先何年も続けていれば、初回の風景なんて超懐かし映像になっちゃうのかもしれませんね。好きな風景は、記憶に焼き付けておかないと、実物はすぐに変わってしまうかも。
+--December 14, 2007--+
「ミステリと東京」川本三郎

「ミステリと東京」読了。
いやあ、もう、こういう本は嬉しい悲鳴があがってしまいます。東京を舞台にしたミステリ、いや、作品によってはミステリという道具を使って東京を描いたとさえいえる小説について、川本三郎が論じている本なのですが、読みたい本リストが一気にプラス22冊になりました(これでも押さえに押さえてます)。雑誌「東京人」での連載をまとめたものなので、連載中のものを読んだ方も多いのでは。
一番最初に取り上げられた島田荘司は、私にとっては島田雅彦と混同してしまう作家で、ともに未読の作家なのですが、島田荘司は『本当になりたいものは都市評論家だ』というくらい、都市の姿をミステリに織り込んでいる作家なんですね。これは読んでみないと。この本で紹介されていた「ギリシャの犬」に出てくるギリシャ文字のような図形、全体が何を指しているかはすぐわかったのに、どの図形がどの橋だかちゃんとわからないのが悔しいわ。
宮部みゆきの章では『「理由」の犯罪の舞台となった北千住のマンションは、国松元警察庁長官が狙撃されたマンションがモデルでは」との川本氏の指摘。「理由」を読んだときにも思ったのですが、私は「理由」の事件の舞台となっているのが北千住ってどうもピンと来ないんですよね。むしろ有明・豊洲といった、元から共同体もへったくれもないような土地の方が似合う事件。でも、事件って「まさかこんなところで」というところでこそ起こるものなのかもしれません。
図書館ネタでは、図書館に寄託した本が盗まれるという紀田順一郎の「古本屋探偵の事件簿」というミステリが紹介されています。川本氏の説明から察するに、文京区水道端図書館が舞台のフィクションっぽいですね。
ちなみに「寄託」というのは、所有権は所有者にあるままで保管してもらうことだそうですが、今の区立図書館でこういうことしてくれるのでしょうか。蔵書もリサイクルして利用者に放出している今の区立図書館に、他者の本を保管するスペースがあるとは思えないのですが。。。
あと、古い作品なんかだと、出てくる町の名前が架空の名前なのか昔実在した町名なのか私の知識ではわからないんですね。この本で取り上げられているものは、川本氏がどちらなのか解説してくれるのでわかるのですが、そうじゃなかったら全部架空の町名だと思ってしまうかも。ミステリを楽しむにもお勉強が必要ですね。
そんなわけで、年明け辺りからミステリ三昧となりそうです。そしてその後、またこの本を読んで楽しみたいですね。
+--February 26, 2007--+
「東京つれづれ草」川本三郎
「東京つれづれ草」読了。
川本三郎氏の本は愛読ブログでよく紹介されていたので前から気にはなっていたのですが、実際に読んだのは今回が初めて。地元砂町図書館の特集コーナーで見つけて読んだのですが、一冊でファンになりました。
この方の東京の町や東京の小さな緑に対する愛着心が読んでいて心地いい。いや、このエッセイ集、東京に関する文章に限らず映画や外国訪問の話なども出てくるのですが、そうした全てが心地いい。
読んでいると歳を取るのが楽しみになってくる、と言ったら変かもしれませんが、いろいろな経験と様々な知識を身につければ、川本氏の視線に少しでも近づけるのかな、なんて思っちゃう。かなりおこがましいですが(笑)。
でも、ちょっとした散歩でも、いろんな場所を知っていたり、時の流れによる変化を(伝聞や本で読んだりするのではなく実体験として)知っていたりすると、多くのことに気付いたり深い見方ができたりすると思うんですね。
あぁ、これからもっともっと町をうろうろしようっと(笑)!







