+--2009年04月10日--+
「ナイチンゲールの沈黙」海堂尊

「ナイチンゲールの沈黙」読了。
「チーム・バチスタの栄光」の著者による二作目の単行本ですが、登場人物は前作と重なるとはいえ、違うパターンのミステリ。前作は論理、論理で来たけど、今回は論理を超えた芸術で来たか。今回の場合、犯人が誰かというのは最初から書かれているようなものなので、そこをどう解き明かすか、田口&白鳥コンビの活躍が読みどころとなるのですが、その解き明かしも芸術の力に取られちゃってる面があるもんなあ。それでも白鳥の嫌らしさは健在で、白鳥ファンにはたまりません(笑)。
また、この作品では、聴き手に映像を見せる力を持つ歌い手というのが出現するのですが、本当にそういう歌い手がいたら聴いてみたいですね。私は歌はあまりそういう聴き方はしないですが、小説は読みながら自分の中で映像化していて、一度読んだことがある小説をそうだと知らずに読んで途中でそれに気がつくときは、「この文章どこかで読んだことあるな」というよりは「この映像は一度描いたことがあるな」という気づき方をするんです。冴子さんや小夜ちゃんの歌は、そういう聴き方をさせる力があるんでしょうね。
あとは、前作の「チーム・バチスタの栄光」では、ミステリという娯楽小説の中で医療現場の問題点を書こうという著者の意思をとても感じたのですが、今回の作品ではそうしたことより生と死の扱いについて広く問うている色が強い気がしました。
病院に閉じ込めて、状態として「生きている」ことを優先させるために、望んでいることができないのは、確かに嫌。じゃあ、とりあえず今は健康である私は、その健康であるという状態を怠りなくフルに享受しているかというと、、う〜ん、自信持ってそうだとは言えないかも。私は頭で小難しいことを考えがちなんだけど、もっと単純に雲のない青空(ここのところ、いい天気ですよね)を見て気持ちよくなれる人になっていいように思います。まあ、あまり単純すぎる人にはなりたくないけど(笑)。
それに「生きる」ということに、いやそれに限らず全ての欲望にどんなに執着しようが、結局限りあるものなんですよね。諸行無常。飽きっぽい私だからかもしれないけど、ある時ものすごく欲していたものが後にどうでもよかったりしますし(笑)。あ、でもそれって、裏を返せばタイミングが大事ってことでもありますね。
そう、海堂さんの小説って、ミステリとして面白いだけじゃなく、医療現場という舞台からこうした様々なことを考えさせられるのも魅力です。えっと、次の作品は「螺鈿迷宮」になるのかな。早速、といっても、他の予約本の待ち状況を見て、そんなにかち合いそうにならなさそうなことを確認してから図書館予約しておきました(笑)。
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